2011年11月9日水曜日
世界の行方を示唆してみる
・水圧破砕法による天然ガス採掘で地震発生、英社が報告書
2011年11月06日 15:52 発信地:ロンドン/英国
【11月6日 AFP】
今年の春、英イングランド地方沿岸で相次いで起きた地震は、水圧破砕法(フラッキング)と呼ばれる方法による天然ガスの掘削によって引き起こされていた可能性が「極めて高い」という報告が2日、発表された。
英エネルギー会社クアドリア・リソーシズ(Cuadrilla Resources)は、同社がイングランド地方北西部ランカシャー(Lancashire)沿岸で行った水圧破砕法による天然ガスの掘削によって、いくつかの弱い地震が引き起こされた可能性が極めて高いと発表した。
同地域では4月にマグニチュード(M)2.3、5月に同1.5の地震が記録された。同社は独立した外部の専門家チームに委託した調査報告書を引用し、「採掘現場の地質に、操業時に注入された水の圧力が加わるという、珍しい条件が重なったことがこれらの地震の原因」だと発表した。また「こうした条件がそろうことは極めて珍しいので将来の掘削現場で同じことが起きる可能性は低い」としている。
同社のマーク・ミラー(Mark Miller)社長は、報告書の結果を真摯に受け止めると述べた。
水圧破砕法とは、天然ガスが閉じ込められている地下のシェール(頁岩)層に化学物質を含んだ水を注入してガスを取り出す掘削法。水質汚染を起こすという批判がある一方で、エネルギー業界はガスの価格を引き下げられると主張している。
米国では前月、水圧破砕法によって生じる廃水排出に関する国内基準を策定する計画を政府が発表している。(c)AFP
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2839065/8037510
・シェールガス採掘反対デモに3000人、カナダ
2011年06月19日 19:07 発信地:モントリオール/カナダ
【6月19日 AFP】
カナダ・ケベック(Quebec)州モントリオール(Montreal)中心部で18日、州内でのシェールガス採掘の中止を求めて約3000人がデモ行進した。
4年前にケベック州のセントローレンス渓谷(Saint Lawrence Valley)でシェールガスが埋蔵されているのが見つかった。開発推進派は、北米はシェールガスの埋蔵量が多いとみられることから、エネルギーの外国依存の緩和につながると期待している。
しかし、ガス井から地下深くに化学物質を含んだ水を送り込んで、シェール(頁岩)から天然ガスを分離するフラッキング(水圧破砕)という採掘方法によって地下水が汚染される恐れがあると懸念する声もある。
ケベック州は3月、シェールガス開発に反対する声を受けて、開発を中断して環境への影響の検討を始めた経緯がある。デモ参加者の多くは検討するだけでは不十分で、検討会議に環境保護活動家も参加させるべきだと主張している。
デモに参加した大学教授は、シェールガス採掘の検討会議のメンバー11人のうち8人はシェールガス開発推進派や政府と関係があると話している。
自転車でデモに参加し、再生可能エネルギーへの転換を求めるスローガンを叫んでいた州議会のアミール・ハディル(Amir Khadir)議員は、シェールガス開発に反対する署名活動を始めたところこれまでに10万人以上が署名したと語った。(c)AFP
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2807329/7385727
5 :名無しのひみつ:2011/11/07(月) 00:11:47.82 ID:k2hjghA9
アメリカのシェールガス採掘による地下水汚染は
NHKの「世界のドキュメンタリー」で見たけど規制強化するのか
8 :名無しのひみつ:2011/11/07(月) 00:20:20.15 ID:LwdCrrYS
オクラホマの地震もシェールガス採掘のこれと関連するのかな?
アメリカも、そろそろ終了だな。
15 :名無しのひみつ:2011/11/07(月) 01:24:18.79 ID:h27iv6g/
■米国:NextEra Energy 社がシェールガス開発に参入
NextEra Energy Resources 社(本社:フロリダ州、前 FPL Energy 社)は天然ガス市場でのシェールガス販売シェア拡大のために PetroQuest Energy 社(本社:ルイジアナ州、PQ)とのシェールガス共同開発を発表した。
PQ 社はオクラホマ州南東部の Woodford シェール層で天然ガス採掘を行っており、NextEra 社は PQ 社の未開発シェール層の採掘権 50%を6,000 万ドルで取得した。
開発は今後 2 段階で行われ、掘削プログラムの第1段階では今回取得したシェール層で NextEra 社が単独で抗井掘削を行い最大 5,400 万ドル拠出する。
16 :名無しのひみつ:2011/11/07(月) 01:32:51.75 ID:KPayjU4c
>>15
【国際】 "同州で起きた地震としては観測史上、過去最大" 米オクラホマ州でM5.6の地震
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1320588243/
【シカゴ時事】米地質調査所(USGS)によると、米オクラホマ州で5日深夜(日本時間6日午後)、マグニチュード(M)5.6の地震が発生した。
米メディアによれば、死者や重傷者の報告はない。
同州で起きた地震としては観測史上、過去最大という。
(2011/11/06-22:19)
時事ドットコム
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011110600217
12 :名無しのひみつ:2011/11/07(月) 01:03:30.36 ID:TLTIeeqo
日本の周囲って天然ガスの宝庫なんだっけ?
13 :名無しのひみつ:2011/11/07(月) 01:04:02.49 ID:bi+LTOji
新潟の地層にCO2圧入で地震が起きたかもってのはどういう報告書が上がってるんだよ
21 :名無しのひみつ:2011/11/07(月) 04:02:20.59 ID:byJZXsFk
地下水の大量な汲み上げも、地震の一因だったこともあり。
22 :名無しのひみつ:2011/11/07(月) 08:51:02.68 ID:TK1JlpaF
福島も新潟もCO2封入やってて 六箇所村と泊原発の近所 苫小牧でもやるんだっけ
33 :名無しのひみつ:2011/11/08(火) 00:29:23.73 ID:vMN2e49t
日本の新潟地震とかは、二酸化炭素地中に埋めたせいらしいな
26 :名無しのひみつ:2011/11/07(月) 17:15:48.28 ID:oTNCh0eI
ンhkの特番で掘った穴から
勝手にしみ出てくるって言ってなかったかな
水圧で岩盤まで壊すとかやばすぎ
これがOKなら
日本海溝の横に穴あけて
熱水発電でエネルギー資源国になれる
27 :名無しのひみつ:2011/11/07(月) 18:35:55.82 ID:hdtQSl1n
イエローストーン全体が噴火する恐れありってニュースがあったなあ
35 :名無しのひみつ:2011/11/09(水) 13:46:41.83 ID:S5hxan4H
中国で石炭を燃やすのをやめさせるにはこれが一番なんだけどな。
さて
・アメリカ各地でシェールガス採掘が盛んになった事で、イエローストーンの地殻活動が更に活性化してアメリカ全体に被害をもたらす
のか、それとも思いっきり楽観的に
・イエローストーンで噴火すべき地殻活動が、より薄まる形で他の州にも移ったため
それぞれの州で地熱発電が活発になり、アメリカに関しては化石燃料を更に節約できるようになる
のかどっちに転がるかなとw
28 :名無しのひみつ:2011/11/07(月) 20:15:15.12 ID:JlYYJfdn
シェールガスで原発廃止と言っていた人どこへ消えた?
29 :名無しのひみつ:2011/11/07(月) 20:30:33.53 ID:DfzUXf1q
何をやっても結局我々は地球を汚染させるんだなw
30 :名無しのひみつ:2011/11/07(月) 22:52:45.85 ID:RXXj2C2P
高温岩体死んだな
シェールガス(英語: Shale gas)
頁岩(シェール)層から採取される天然ガス。
従来のガス田ではない場所から生産されることから、非在来型天然ガス資源と呼ばれる。
アメリカ合衆国では1990年代から新しい天然ガス資源として重要視されるようになった。
また、カナダ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアの潜在的シェールガス資源も注目され、2020年までに北米の天然ガス生産量のおよそ半分はシェールガスになると予想する研究者もいる。
別の研究者は、シェールガス開発により世界のエネルギー供給量が大きく拡大すると予想している。
ライス大学ベーカー研究所の研究では、アメリカとカナダにおけるシェールガスの生産量の増加によってロシアとペルシャ湾岸諸国からヨーロッパ各国へのガス輸出価格が抑制されると結論付けた。
2009年の米中シェールガス・イニシアティブにおいてアメリカのオバマ大統領は、シェールガス開発は温室効果ガス排出量を減らすことができるとの見解を示した。
しかしその後シェールガスの温室効果ガス排出量が、従来の天然ガスや石油よりも大きくなるとの指摘が学会から上がるようになった。
シェールガスを含む頁岩は、泥岩の一種で硬く薄片状にはがれる性質をもち、粒子が細かく流体を通す隙間がほとんどないので、自然の状態では天然ガスの商用資源とはなりえない。
また、貯留層が砂岩である在来型の天然ガスと異なり、泥岩に貯留することから、コールベッドメタン(CBM)、タイトガスサンド、メタンハイドレートとともに非在来型の天然ガス資源のひとつとされている。
頁岩は浸透率が低いので、商用量のガスを生産するためには人工的にガス採取用のフラクチャー(割れ目)をつくる必要がある。
過去、シェールガスは頁岩層に自然にできた割れ目から採取されていたが、2000年代に入ってから水圧破砕(英語)によって坑井に人工的に大きな割れ目をつくってガスを採取する技術が確立し、更に頁岩層に接している坑井の表面積を最大にするために水平坑井掘削技術(英語)という技法で10,000フィート (3,000 m)もの長さの横穴を掘ることが可能となった。
これらの技術進歩の結果シェールガス生産量が飛躍的に増加しシェールガスブーム、シェールガス革命などと呼ばれるようになった。
水圧破砕には、一つの坑井に多量の水(3,000~10,000m3)が必要であり、水の確保が重要となる。また用いられる流体は水90.6%、砂(プロパント8.95%)、その他化学物質0.44%で構成されることから、流体による地表の水源や浅部の滞水層の汚染を防ぐため、坑排水処理が課題となる。
実際に、アメリカ東海岸の採掘現場周辺の居住地では、蛇口に火を近づけると引火し炎が上がる、水への着色や臭いがするなど)が確認されるようになり、地下水の汚染による人体・環境への影響が懸念されている。
水圧破砕のために地中に注入された水が引き金となって地震が発生している事が報告されている。
1996年、アメリカでのシェールガス生産は0.3TCF(兆立方フィート)で、天然ガス生産量全体の1.6%であったが、2006年には生産量は3倍以上の年間1.1TCF、同5.9%を占めるまでに増加した。
2005年、アメリカにおけるシェールガス井は14,990坑におよび、うち4,185坑は2007年に生産を終えている。
2007年には、全米の石油ガス田のうちバーネット(Barnet)が2位、アントリム(Antrim)が13位の生産量であった。
2010年6月マサチューセッツ工科大学の研究では、将来天然ガスはアメリカのエネルギー需要の40%(現在は20%)をまかなうようになると報告された。
このためエクソン・モービルやロイヤル・ダッチ・シェルなど石油メジャーは海外でのシェールガス開発に積極的に資本投下を行なっている。
日本で報道されることはほとんどないが、近年、シェールガスに関して世界で最も注目されている国がじつはポーランドである。
2010年現在、ポーランドは天然ガス消費量の3分の2をロシアから輸入している。
米コノコフィリップス社はポーランドLane Energy社と共同でポーランドでのシェールガス探査計画について発表した。
米マラソン・オイル(英語)社は、シルル紀の地層を調査する目的でポーランド国内でのライセンスを取得した。
近年の報告では、ポーランド国内に大規模なシェールガス層があることが示唆されている。
近年の調査によって最低でも3兆立方メートルの資源が存在すると推定されているが、仮にこれが確かな数字であるとすると、ポーランドには200年分以上のガス資源が埋蔵されていることになる。
その後、2010年4月になりアメリカ合衆国エネルギー省のエネルギー情報局がポーランドには「少なくとも」5.3兆立方メートルのシェールガスが埋蔵されていると結論した。
これはほかの地域で発見されたシェールガス埋蔵量と比較して桁違いの数字で、ポーランド国内の天然ガス使用量のじつに300年分に相当する途方もない量となるが、これでも「少なく見積もって」の数値である。
こうしたシェールガス資源はEUの確定埋蔵量を大幅に押し上げ、ロシアからのガス輸入の重要性を大きく下げるものであり、エネルギーを戦略物資として策定されているロシアの長期覇権戦略にとって大きな障害物となるため、将来的にロシアがポーランド侵攻をする強力な動機になりうる。
しかし、現在のシェールガス採掘技術では環境汚染が懸念されるため、ポーランドは本格的な採掘に関しては慎重な姿勢をみせている。
(ウィキペディア)
・地下水が枯渇――米国灌漑農業「危機」の深刻度
http://www.asyura2.com/0502/social1/msg/657.html
投稿者 feel
日時 2005 年 9 月 20 日 00:01:40: /berAdga6DXu.
エコノミスト 2005年9月20日号
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/economist/news/20050912-142549.html
エコノミストリポート 「近代農業の環境破壊」
・地下水が枯渇する 米灌漑農業「危機」の深刻度
地下水が枯渇したり、塩分が集積するなど、米国の灌漑農業が危ない。
乾燥地帯を農地に変貌させた灌漑が行きすぎ、環境破壊につながっているのだ。
それにより、世界の16%を占める米国の穀物生産が落ち込むことになれば、日本はもちろん、世界の食糧事情に大きな影響を及ぼすことになる。
さいとう きよあき
斎藤 清明(総合地球環境学研究所教授)
大学共同利用機関法人・人間文化研究機構の総合地球環境学研究所(京都市上京区、地球研)には、中国の黄河で1990年代から頻発する「断流」をテーマにして、水利用に関わる環境問題に取り組む研究プロジェクトがある。
「断流」とは、取水などが原因で、川の上流からの流れが河口にまで達しないという現象をいう。
同様の問題は米国にもあるはずで、同じような大国の米国を調べれば中国での課題も見出せるのではないかと、2005年6月に米国への「水管理と環境」スタディーツアーを行った。
私も参加し、ワシントンからサンフランシスコへと大陸を横断し、各地を車で回った。
コロラド州では大地下水脈のオガララ帯水層を利用した大平原の灌漑農業を見た。
灌漑農業とは、河川や地下水から人工的に水を取り込んで行う農業である。
西部では、コロラド川の水資源開発や、灌漑によって一大農業地帯となったカリフォルニア州の水管理問題などを視察した。
ロッキー山脈をはるか西に望むコロラド州都デンバーから東へ、ネブラスカ州とカンザス州との州境に向かう。
周りは、地平線まで見渡せる大平原である。
合衆国地質調査所スタッフの案内で、オガララ帯水層のあるあたりをめざした。
グレートプレーンズと呼ばれて放置されていた半乾燥地帯が、地球上で最大規模というオガララ帯水層の地下水を利用した灌漑によって、大規模農業が盛んになったのは、第2次世界大戦後のことだ。
揚水ポンプで汲み上げ、センターピボット方式(長大なスプリンクラーが円を描くように回って散水する灌漑のやり方)など自走式スプリンクラーでの灌漑が普及した。
スプリンクラーは棒状で、円を描きながら散水するため、畑は四角ではなく円状になる。
上空から見ると、畑は「緑の円」のように見える。
その「緑の円」が何千何万にも増え、世界の一大食糧供給地になったのである。
その現地を見ようと2時間あまり、車を飛ばした。
途中、巨大な穀物貯蔵庫や何万頭も飼っている肉牛育成牧場を横目に通り過ぎ、米農務省管轄のコロラド州のアクロン農場に着いた。
この農場では、作物を輪作する組み合わせをさまざまに実験していた。
地下水を有効利用するためだという。
この付近では以前、秋まき小麦がもっぱら栽培され、翌夏に収穫した後は「水を溜めるために」と、次の年は休耕していたという。
灌漑農業が盛んになってからは休耕せず、大豆やミレット(キビやアワなど)、トウモロコシなどの輪作も可能になった。
ここで、センターピボット灌漑の実物に初めて触れた。
大蛇のような長いアームが延び、支柱の先のホースから細かな水が作物に注ぐ。
巨大なスプリンクラーから、まさに「人工の雨」が降る。
1分間に数十センチとゆっくり移動する。
円状の畑の半径は約400メートルあり、一つの円が54ヘクタール(甲子園球場の約14倍)と巨大だ。
アクロン農場からさらに西へ1時間、コロラド州ユマの農家を訪ねた。
その農場の隅に地質調査所が観測用井戸を設置してあり、オガララ帯水層から汲み上げた水を口にしたが、白っぽく砂混じりのようで、飲めなかった。
この農家の祖父母は、19世紀末にポーランドからの移民。
ここで井戸を掘って灌漑農業を始めたのは1941年のことで、大がかりなピボット灌漑にしたのは68年。
この時期から周辺で急に広まったという。
四つの円が1マイル四方にちょうど入る規格だが、井戸は三つという規制があり、現在は五つの井戸で七つのスプリンクラーを稼働させている。
しかし、井戸の水位は54年に地下100フィートだったが、現在は同160フィートで、60フィート(約20メートル)近くも下がったと、気にしていた。
灌漑の経費を聞くと、中心のトウモロコシ栽培では、1ユニット(一つの円)のピボットにかかる費用は6000ドル。
そのほかの経費を差し引くと、1エーカー当たりの収入は豊作の年でも75ドルほど。
全耕作地1440エーカー(父親所有の800エーカーも加えて)で年間収入は10万8000ドル(約1200万円)だという。
広大な農地を持っていても、その程度なのかと驚かされた。
デンバーの合衆国地質調査所の説明では、オガララ帯水層はネブラスカ州の大半に広がり、南のカンザス州やテキサス州へと続いている。
北のサウスダコタ州からワイオミング、コロラド、オクラホマ、南のニューメキシコの各州まで、8州にも分布する広大なものだ。
その地上部には米国の灌漑農地の27%がある。
ここで、全米の小麦の19%、綿花の19%、トウモロコシの15%を生産している。
畜牛の飼育も18%を占めるという。
地下水は長年にわたって大量に汲み上げられ、食糧生産大国の米国を支えてきたといえる。
登録された井戸は約13万基にのぼり、灌漑用にポンプで汲み上げた量は、49年と2000年を比較すると約5倍に増えたという。
しかし、地下水位はここ半世紀の間に平均約30メートル下がるなど、オガララ帯水層の枯渇が危惧されている。
とくに、テキサス州など南部での地下水位低下が大きいという。
もちろん、効率的な作物輪作や無駄の少ないスプリンクラーの開発など、対策が講じてられている。しかし、帰国後に読んだレスター・ブラウン米地球政策研究所理事長のコラムには、
「目の前の食糧需要を満たすために灌漑用の水を汲み上げすぎると、やがては食糧生産の低下を招く」
「現在の農民世代は、地下の帯水層の大規模な枯渇に直面する最初の世代でもある」と厳しい指摘があった。
デンバーからロッキー山脈を越えると、機上からは緑のような色は見えず、荒涼たる景観となった。赤茶けた大地が広がる、乾燥しきった世界だ。
ネバダ州の歓楽地ラスベガスは、砂漠のなかにあるのだが、着陸前に大きな湖が見えた。
琵琶湖ほどの広さがあるミード湖だ。
この湖は、36年の完成当時に世界最大といわれたフーバーダムがコロラド川を堰き止めてできた人工湖である。
ここから約3分の1の水量が、カリフォルニア州に送られる。
ロッキー山脈の雪解け水を集めて下るコロラド川は、メキシコのカリフォルニア湾に注いでいる。
その流域には次々とダムや水路が造られ、まるで運河のように改造されている。
降水量の比較的多い州北部から中南部へ、総延長1000キロにも及ぶカリフォルニア送水路など、州の給水事業が巨費を投じて運営されている。
今日のカリフォルニア州は、米国でも有数の農業州となっている。
海岸部を除くと半乾燥地域で、州の約65%は年間雨量が500ミリ以下と、もともと農業には厳しい地域だった。
そこが、灌漑によって世界で最も生産性の高い農業地帯になったのである。
そのうえ、サンフランシスコやロサンゼルス、サンディエゴをはじめ、巨大都市を抱えており、カリフォルニア州にとって、水資源がきわめて重要な意味をもっている。
このため、川の水をそのままには海に流させないといわんばかりに、米国側は河川水を利用し尽くそうとしてきた。
こうした水利用によって、カリフォルニア州をはじめ、西部の各州の農業が成り立ってきたといえる。
ラスベガスからメキシコ国境のアリゾナ州ユマへ飛び、巨大な脱塩処理場を見た。
コロラド川で取水する米国側の農業廃水などによって水質汚染が国際問題となり、巨費を投じて92年に設置されたものだ。
ところがその後、洪水がおきて流域土壌の塩分が洗い流され、現在の水質は脱塩が不要な水準に収まり、稼働していない。
それでも維持費に年600万ドル(稼働すると年2000万ドル)かかり、宝の持ち腐れになっていた。
コロラド川はアリゾナ州ユマのインペリアルダムでさらに分流され、オールアメリカン送水路などで灌漑区を潤しながら、ロサンゼルスやサンディエゴに至る。
私たちも水路に沿ってロサンゼルスへ向かった。灌漑区のはずれにあるソルトン湖には驚いた。
琵琶湖ほどの広さで流出河川を持たない閉鎖湖だが、灌漑水の捨て場になっている。
湖水をなめると、海水よりも塩辛い。
湖岸には小さな貝の死骸が累積していた。
灌漑水は農地に撒かれると土の中に浸透し、やがて排水され、また川に戻っていく。
そのときには土壌のミネラル塩層を透過しているので、排水には塩分が増える。
米国西部の水資源開発を描いたマーク・ライナー『砂漠のキャデラック』(改訂版は93年刊、日本語版は99年刊)には、コロラド川から取水の際は塩分濃度が約200ppmだが、排水時は6500ppmになっていると記述があるほど、塩分濃度は高いようだ。
乾燥地を流れる河川水には塩分が多く、耕作に使い続けると農地に塩分が集積されていく。
さらに、排水の仕組みを造らないで灌漑を続けると、作物に利用されなかった灌漑水が地下にたまり、地下水位が上がっていく。
灌漑水が混じった地下水には土壌から溶けた塩分がすべて含まれており、作物の成長が阻まれてしまう。
灌漑による耕地への塩分集積は、滞水(水が溜まること)とともに起こるので、作物は塩害と湿害を同時に受けることになる。
そして、いったん塩分が集積すると、洗い流すのは難しいとされる。
米国では灌漑に大量の水を使用し、高濃度化する塩分を排水しているようだが、塩分が溜まったまま放置されることによる荒廃放棄地も問題になってくる。
灌漑農業の現状を、カリフォルニア州中央部のサンウォーキンバレーなどで長年調査してきた、地元のK・タンジ名誉教授(カリフォルニア大デイビス校)にチュラ湖などを案内してもらった。
チュラ湖は、かつて13万ヘクタールあった閉鎖湖だった。流入河川の上流部にダムが設けられ、湖の干上がったところを農地にした。その付近でも灌漑農業が盛んになっていった。
しかし近年では、灌漑排水による塩分集積がひどくなった。
春まき小麦や綿花などから耐塩性があるトウモロコシ、アーモンド、ピスタチオなど、作物を多様化させることで対応しているという。
ただ灌漑排水は、近くの蒸発池に捨てるしかない。
灌漑排水を流し込んでいる蒸発池も見たが、異臭を放っていた。
この池には渡り鳥も来なくなってしまったという。
このような灌漑による耕地への塩分集積は、近代農業による環境破壊ともいえる。
米国ではカリフォルニア州の大農業地帯サンウォーキンバレーをはじめ、西部では深刻になっている。
さらに、旧ソ連のカザフスタン、オーストラリアなど、世界各地でも同様の問題が起きている。
米国は世界一の農業国であり、世界の穀物の16%(トウモロコシ38%、小麦8%、大豆38%)を生産している。
世界の穀物貿易に占める米国の割合は、穀物全体で31%(トウモロコシ52%、小麦22%、大豆46%)にものぼる(日本貿易振興機構04年データ)。
一方、日本は水資源に恵まれているが、食糧の自給率は4割と低い(農林水産省の8月10日の発表によれば04年度食料自給率は39・5%)。
つまり、日本は食糧輸入大国であり、財務省貿易統計によれば、米国は日本の食糧輸入額の約25%を占める最大の輸入相手国である。
灌漑農業の危機によって、米国での穀物生産が落ち込むことにでもなれば、食糧の多くを米国からの輸入に頼っている日本が大きな影響を受けることは必至。
日本だけでなく、世界的な食糧事情に悪影響を及ぼすことになるだろう。
オガララ帯水層はアメリカ中西部にある世界最大という地下水層。
面積は約45万平方キロ(日本列島の約1.2倍)で、降雨量の少ない穀倉地帯の水源になっている。
地下水は氷河期から蓄えられたもので、汲み上げられた分だけ水位は低下していく。
近年、灌漑農業による過剰揚水(水の汲み上げすぎ)による水位低下が問題になっている。
水位低下は農業用水不足に直結し、穀倉地帯の耕地消失が懸念されている。
オガララ帯水層の問題は、日本の食糧問題でもある。
今から、安定供給のあり方を再検討することが必要だ。
なかむら りょうた
中村 良太
(日本大学生物資源科学部教授)
オガララ帯水層は、北はサウスダコタ州から南は米国最南端のテキサス州に至るやや細長い地域で、総面積45万平方キロ。米国の農耕地全体の20%を優に占める。
主として第2次大戦以降に、この地方の各農家は競ってこの帯水層からパイプ井戸による揚水をして灌漑し、アメリカ中央部一帯の乾燥した不毛の平原を、一大穀倉地帯に変えた。
円周状にスプリンクラーが回るセンターピボット灌漑などは有名である。
帯水層とは、どのようなものか。試みに、コップいっぱいに砂利を入れ、その半分まで水を注いだところを想像しよう。
パイプ井戸はこのような水を含んだ砂利層から水を吸い上げる。
実際は、オガララ帯水層の厚さは、平均して70メートルである。
この上に数メートルから数十メートルの土壌の層が載っていて、パイプはその層を突き抜けなければならない。
この帯水層の水が減り始めていることが、最近問題とされている。
年によって異なるが、年間に数十センチから場所によっては2メートルも地下水面が降下しているという。
理由は、降雨がしみ込んで地下水を涵養する速度よりももっと速い、自然に涵養される速度の何倍もの速度で水を吸い上げているからである。
この勢いで下がり続けると、70メートルの帯水層は数十年で汲み尽くしてしまう。
すでに、カンザス州などでは、水不足から離農する農家が出始めている。
地下水の水位が下がり、揚水に要するエネルギー費用がまかない切れない。
そこに、農産物の価格下落が追い討ちをかけたといわれる。
もう一つ、水質問題も抱えている。
オガララ帯水層の水は飲料水としても用いられている。
表層から帯水層へ浸透する水の中に、農業の肥料、農薬が混入し、健康への被害が心配される。
いうまでもなく、オガララ帯水層のことは米国にとって大問題であり、すでに公的私的レベルでいろいろな対策が取られつつある。
しかし米国にとってこの処理は苦手で、手をこまねいているようにも見える。
それはオガララの水は典型的なコモンズ(共有財)であるのに、一方で米国社会が基本的に個人の自由競争の市場原理を基本として成り立っているからという一面もあろう。
アジアは世界最大の食糧輸入地域(金額ベース)だが、なかでも日本の輸入額は突出している。
2001~03年の3カ年平均を取ると、日本の食糧輸入額は300億ドルで、日本1国でアフリカ全体の1.5倍に上る(『04年度食糧・農業・農村白書』、農林水産省)。
日本の食糧輸入の最大相手国は米国である。
米国からの食糧輸入の中心は肉と飼料穀物で、輸入量のなかで小麦の55%、大豆の75%、トウモロコシに至っては95%以上を米国に依存している。
将来、水不足や水質規制から、オガララ帯水層の地下水による農業生産が大幅に減少すれば、米国の食糧輸出量が大きな割合で減る可能性もある。
その場合、米国の穀物価格は高騰し、日本はより安価な他国に、その輸入先を急速にシフトする。
その過程で食糧供給が政治・社会問題化して、思わぬ摩擦やパニックなどが起きぬよう、日本としてもオガララ帯水層を含めて、多角的な面から安定的な食糧供給の検討をしておくことが必要である。
http://www.asyura.com/0502/social1/msg/657.html
カーギル (英語:Cargill)
アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス市から少し西に行ったミネトンカに本社を置く穀物メジャーの1つである。
現在では穀物のみならず精肉・製塩など食品全般にビジネスの範囲を広げている。
カーギル本社カーギル社の企業形態は、株式の全部をカーギル家とマクミラン家の関係者が所有する同族企業であり、非上場企業としては世界最大の売上高を誇る。
秘密主義であり、情報の公開を義務付けられる公開会社としていない。
20世紀に資産が6000倍になる成長をしている。
ミネアポリスにある本社は、外観が古風な建物となっている。
古城のような外観から通称は「シャトー」。
内部は一大情報センターとなっており、全世界における穀物生産・消費の情報をもとに経営戦略が練られている。
穀物メジャーは石油メジャー同様、ビジネスの性格上政治と密接な関係を持つ場合がある。
第二次世界大戦後、日本において、米食からパン食や肉食に食習慣を変化させて穀物輸入)を増加させた米国の対日政策にも影響を与えたといわれる。
日本に子会社の「カーギル・ジャパン」を持つ。
1865年 創業者のウィリアム・ウォレス・カーギルがアイオワ州にて小さな穀物商を営み始める。次々と穀物倉庫を所有し規模を拡大する。
1906年 ミネソタ州に進出。
1909年 ジョン・H・マクミランが社長に就任(後にカーギル社の株式は、カーギル家(85%)とマクミラン家(15%)で持ち合うこととなる)。
1922年 ニューヨーク州へ販路を拡大。
1970年代 五大穀物メジャーが形成(他の4社はコンチネンタル・グレイン、ブンゲ、 ルイ・ドレフェス、アンドレ・ガーナック)。世界の穀物取引を事実上支配することとなった。
1990年代 穀物メジャーの再編が進む。
1999年にはコンチネンタル・グレインがカーギルに買収され、最終的に2社(カーギルとアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)に再編。
1997年に会社更生法を申請した東食(現:カーギルジャパン)を傘下に収める。
2000年の調べでは、従業員数48,000人、売り上げ476億ドル。世界第2位のADM社を2倍も上回る売り上げと従業員数を誇る。
2009年度(2009年5月期)の売上高は1,166億ドル、純利益は33.3億ドル。
従業員は、世界67カ国、1,100拠点に138,000人を有する。
/モンサント社 (Monsanto Company,NYSE:MON)
アメリカのミズーリ州セントルイスに本社を持つ多国籍バイオ化学メーカー。
2005年の売上高は62億ドル、2008年の売上高は110億ドル、遺伝子組み換え作物の種の世界シェアは90%。研究費などでロックフェラー財団の援助を受けている。
また自社製の除草剤ラウンドアップに耐性をもつ遺伝子組み換え作物をセットで開発、販売している。
バイオ化学メーカーとして世界屈指の規模と成長性を誇り、ビジネスウィーク誌が選ぶ2008年の世界で最も影響力があった10社にも選ばれた。
1901年にジョン・F・クイーニイにより創業。モンサントという社名は妻のオルガ・モンサントに由来する。
1920年代頃から硫酸と化学薬品の製造で業績を上げ、1940年代からはプラスチックや合成繊維のメーカーとしても著名となった。
本社の存在するセントルイスには世界屈指の遺伝子資源貯蔵規模を誇るミズーリ植物園 があるが、モンサント社はここのハーバリウム(植物標本保存施設)の建設に多額の寄付をしていることでも知られている。
同社を有名にした商品の一つはPCBであり、アロクロール(Aroclor)の商品名で独占的に製造販売した。日本では、三菱化成(現三菱化学)との合弁子会社であった三菱モンサント化成(現在は三菱樹脂へ統合)がPCB製造メーカーの一つであった。
また、農薬のメーカーとしても著名で、ベトナム戦争で使われた枯葉剤の製造メーカーでもある。
この枯葉剤には不純物としてダイオキシン類が含まれており、後に問題となった。
除草剤ラウンドアップを開発し、近年ではラウンドアップに耐性をもつ様々な遺伝子組み換え作物(ラウンドアップ・レディー: Roundup Ready)を分子育種して、セットで販売している。
なお、ラウンドアップの有効成分グリホサート(glyphosate)自体の特許は既に有効期限が切れている。
その他、雄性不稔や病害虫抵抗性やストレス抵抗性や成分改変の様々な組換え品種も開発している。
モンサント社の遺伝子組換え作物の強引なシェア確保商法に対して欧州を中心に問題となっている。そのため、農業分野における米国の世界支配を支える企業という批判の的となることがある。
上述のように遺伝子組換え作物に力を入れている企業である。多くの種苗会社の他、新たな遺伝子組換え品種や技術を開発した企業を吸収したり、それらの企業に資本参加している。
自社の開発した遺伝子組換え作物の種子を販売するに当たり、次回作には自家採種したものを利用しないとの契約を栽培農家との間で結んでいることが多い。
そのため、その契約に違反して遺伝子組換え作物の種子を自家採種し以後の作付けに利用した農家に対して、知的財産権侵害として多くの訴訟を起こしたことから注目を集め、一定の批判を受ける事態が生じた。
また、"いわゆる"「ターミネーター遺伝子」を組み込んだ組換え品種を開発した企業を買収した。
"いわゆる"「ターミネーター遺伝子」や「ターミネーター技術」とは、遺伝子組換え作物に結実した種子を発芽できなくするものであり、農家による遺伝子組換え作物の自家採種を無効にしたり、遺伝子組換え作物による遺伝子の拡散や遺伝子汚染を防ぐために開発されたものである。
しかし、この技術の倫理性に疑問が投げかけられたために、これを用いた種子の流通はまだ行われていない。
(ウィキペディア)
・アメリカで「TPP」を推進して米政府を操る黒幕たちの正体
GIGAZINE 2011年11月04日 22時16分48秒(以下抜粋)
アメリカからTPPはどのように見えているのかという点については、アメリカ政府自身が開設しているTPP公式サイト「Trans-Pacific Partnership | Office of the United States Trade Representative」http://www.ustr.gov/tpp 内に、アメリカの各州がこのTPPによってどれぐらい恩恵を受けるのか?という説明図があります。
以下のようにして具体的な数値を上げ、わかりやすくTPPのメリットを解説しています。
「TPPは米国の輸出業者のために途方もない機会を提供します。
消費者の95%がアメリカの国境の外にある世界において、アジア太平洋地域は世界人口の40%で構成されています。
これらの国々の経済はダイナミックで素早く、世界平均よりも急速に成長しており、2009年には世界のGDPの56%を生成しています。
アジア太平洋地域はアメリカの輸出にとって世界最大の市場であり、アメリカの農産物の輸出の実に3分の2を受け取っています。
オバマ政権はこれらの輸出を増加し、TPPを介して自宅でも地域でもより多くの雇用を創出することをお約束します。」
また、TPPによってアメリカがどれぐらいの恩恵を受けるのかというFAQをまとめたPDFファイルhttp://www.ustr.gov/webfm_send/1711
まで用意されており、以下のように書かれています。
Q なぜアメリカは、TPPに参加しているのですか?
A アメリカがTPPへの参加を決めたのは、アジア太平洋地域における経済的持分を進めるために最良の乗り物だからです。
アメリカの輸出品の拡大は、アメリカの景気回復、およびアメリカでの高品質の雇用の創出と維持にとって重大なことです。急成長および大きな市場という意味で、私たちの貿易の拡大がアジア太平洋地域より重大な地域はありません。
ほかにも、TPPを21世紀型の協定であると定義し、米国政府は商業組合・NGO・個々の会社および他のグループから129の詳細なコメントをもらっているであるとか、国会議員からもコメントを受け取っているであるとか、スケジュールとしては交渉をできるだけ迅速に終えようと努力しているということも明記されています。
アメリカ政府のTPP公式サイトは上記解説のように、各州の利益について具体的に数値を出して示しているわけですが、さらに具体的に考えるとTPPの正体が分かるようになっています。
つまり、抽象的な「国家」という概念ではなく、このTPPを推し進めているのは誰か?アメリカの誰が得をするのか?という点を知ることができれば、相手の姿が分かり、目的が分かり、日本も誰が何をすべきかということがはっきりと分かるようになります。
次にいよいよその「具体的な誰か」が誰なのかを見ていきます。
◆TPPの黒幕のリスト
では、アメリカの誰がこのTPPを推進している黒幕なのか?以下のサイトがその正体です。
NATIONAL FOREIGN TRADE COUNCIL
http://www.nftc.org/
この「全国貿易協議会」、略して「NFTC」という財界団体・同業組合がTPPの裏にいる存在であり、TPPを強力に推進しているわけです。
NFTCは1914年に設立され、オープンでルールに基づいた国際貿易システムを主張する最も古く、そして最大の規模を誇っています。
会員社数は300を超えており、ワシントンとニューヨークにオフィスを構えています。
つまり、オープンな国際貿易と投資制度を促進する公共政策を主張し、専門知識および主要問題についての情報をフル動員して広め、さらに政策決定者とオピニオン・リーダーとの対話によって公開討論に影響を及ぼすことでグローバルな通商を進めることです。
もっとわかりやすく身もふたもない言い方をすると、政府関係者にロビー活動を行って自分たちの会員企業に有利な法律を政府に作らせるのがお仕事、というわけです。
そして、このNFTCのサイトにあるPDFファイル
「Letter to NEC Director Sperling in Support of TPP」http://www.nftc.org/default/Publications/Trade_Policy/TPP%20Coalition%20Letter%20to%20Sperling.pdf
に、このTPPに賛成し、推進している企業の名前が連ねられています。
「NEC」とは「National Economic Council」の略で、日本語訳すると「米国家経済会議」となります。
つまり、業界団体が政府に手紙を2011年2月3日付で送った、というわけです。
この手紙自体の中身はTPPで要求したいことがつらつらと書かれており、途中まではすでに一連の記事で書いてきたことばかりなのですが、問題はその文末にあります。
「私たち共通の政府のゴールとして2011年11月までにTPP交渉を終え、アメリカ企業と労働者が外国市場へ適正に参加する能力を制限する障壁の撤廃に取り組みます。
この交渉終了を達成するためにアメリカはTPP交渉を通してアメリカ経済全体のキーとなる分野において、高い基準、強い保護、最大限の市場アクセスを要求しなければなりません。」
ということで、なんと2011年11月には交渉の中身自体を「終える」ことが既に2月で目標として出ており、2012年に最低あと5回は交渉が行われるという話でしたが、ほぼ中身自体は確定しており、あとは「最後まで走るだけ」というレベルにまで達しています。
だからこそ、最後まで走り切れ!という意味の最後の一押しとなる激励の手紙を政府に送っており、末尾にはこのTPPを推進している企業の名前がずらっと並んでいます。
以下がそのリストです。
かなり膨大な量になっていますが、インテル、マイクロソフト、IBM、GAP、コカコーラ、ファイザー、シティグループ、ダウ・ケミカル、GE、ヒューレット・パッカード、ジョンソン・エンド・ジョンソン、リーバイス、オラクル、P&G、タイム・ワーナー、Visa、ウォルマート、ゼロックスなどといった有名企業も山ほどあり、つまりTPPでの交渉とは、これらすべての企業を相手にするのと同じ意味なのだ、ということです。
有名企業以外にも日本では知られていないが非常に強力なロビー活動のための組織が山ほどあり、TPPでなぜあれだけ多くの分野が上がっているのか、その理由がわかるはずです。
加盟社数、会員社数、構成員数、これまでの歴史、アメリカはTPPのためにこれまでアメリカが築き上げてきたすべてのものを総動員しているというのが、一目瞭然です。
----ここから----
Abbott Laboratories(アボット・ラボラトリーズ、1888年設立の製薬会社、世界130カ国で事業展開を行っており、1985年に世界初のHIV血液検査薬を開発)
ACE Group(エースグループ、生命保険会社で主にロンドンのロイズ保険市場を使っている)
Advanced Medical Technology Association (AdvaMed)(先進医療技術工業会)
American Apparel & Footwear Association (AAPC)(アメリカの服とフットウェアの協会、何百もの下請け業者を代表する産業業界団体)
American Automotive Policy Council (AAPC)(クライスラー、フォード・モーター、ゼネラル・モーターズの自動車大手3社がアメリカの自動車推進政策会議として組織し、国際貿易と経済政策に関する自動車推進の通商政策会議を行っている)
American Business Conference (ABC)(1981年に設立されたアメリカ営業会議、経済の中型の高度成長セクターの公共政策についてロビー活動を行う団体で、主に製造業・公共事業・先端技術・金融サービスがメンバー)
American Chamber of Commerce in New Zealand(AmCham)(ニュージーランド米国商工会議所、フォーチュン500の会社などがメンバーで、45年以上もの間、アメリカとニュージーランドの貿易・投資・観光旅行を促進してきた)
American Chamber of Commerce in Singapore(AmCham Singapore)(シンガポール米国商工会議所。アメリカ国外では最大規模の米国商工会議所のうちの1つ、ASEANで最大の米国商工会議所であり、シンガポールで最大の外国の商工会議所。シンガポールで概算250億ドル(約1.9兆円)の投資を行っている。4500人のメンバーと700を超える会社が加盟しており、1年あたり280を超えるビジネス・イベントを開催し、13の産業に焦点を置いた委員会を所有する)
American Chamber of Commerce in Vietnam (Hanoi)(AmCham Hanoi)(1994年設立のベトナム・ハノイ米国商工会議所。メンバー数は450人、立法および行政改革・ネットワーキング・ビジネス状況報告・貿易使節団・有益な出版物を取り扱い、政府に対して景気を増強するロビー活動も行う)
American Chamber of Commerce in Vietnam (Ho Chi Minh City)(AmCham Vietnam in HCM City)(ベトナム・ホーチミン米国商工会議所。1996年設立で700の会社と1500人の会員を有する)
American Council of Life Insurers (ACLI)(生命保険産業のためにワシントンD.C.でロビー活動を行う業界団体。米国生命保険産業の総資産の90パーセントを占める300社の保険会社を代表している)
American Forest & Paper Association (AF&PA)(米国森林・製紙協会。林業協会と米国製紙工業会の合併によって1993年1月1日設立。米国のパルプおよび製紙業のおよそ80%および木製建築資材キャパシティーの50%のメーカーを代表する林産品産業の国立同業組合)
American Import Shippers Association (AISA)(米国輸入運送協会。1987年設立で、織物・衣服・フットウェアおよび他の消費財のアメリカの輸入業者をとりまとめる世界最大の国際的発送協会のうちの1つ)
American Soybean Association (ASA)(アメリカ大豆協会。アメリカの大豆生産者2万2000人で構成された非営利農業団体で、1920年設立。過去90年間にわたって政府に対するロビー活動、生産者の教育、啓蒙活動を行っている)
ANSAC(ANSAC: American Natural Soda Ash Corporation)(1984年設立、アメリカン・ナチュラル・ソーダ灰株式会社。アメリカのソーダ灰3社のための国際的な物流部門。グラス、洗剤およびいくつかのナトリウムに基づいた化学薬品の製造の中で使用される本質的な原料である炭酸ナトリウム(Na2CO3)であるソーダ灰を扱っている)
Applied Materials, Inc.(アプライドマテリアルズ、アメリカ半導体製造装置最大手で1967年設立。半導体(集積回路)チップ、コンピューターとテレビのための平面パネルディスプレー、家と建物のためのグラスコーティング、産業と光起電力の太陽電池のためのフレキシブル基板コーティング)
Association of American Publishers (AAP)(米国出版社協会。アメリカの本出版産業の国立同業組合で、より小さく非営利的な出版者、大学出版局などアメリカのほとんどの主な商用出版者を含む300人を超えるメンバーを擁する。知的財産と国際著作権を扱う)
Association of Equipment Manufacturers (AEM)(設備メーカー協会。農業、建築、採鉱および公益事業の産業用設備を製造する会社のための同業組合)
AT&T(エイ ティ アンド ティ、アメリカ最大手のモバイルと固定電話の電話会社。1877年にグラハム・ベルが設立したベル電話会社が前身で、現在では1億70万人以上の携帯電話ユーザーを持っている)
Bechtel Corporation(ベクテル、石油コンビナート、原子力発電所、キング・ファハド国際空港、ホンコン国際空港、英仏海峡トンネルなどの建設を請け負う世界最大級の建設会社)
Boeing Company(ボーイング、1916年設立の多国籍航空宇宙および防衛関係請負業者。アメリカで唯一の大型旅客機メーカーであり、ヨーロッパのエアバスと世界市場を二分する巨大企業。民間機だけでなく軍用機・ミサイルなどの研究開発・設計製造も行っている)
Biotechnology Industry Organization (BIO)(バイオテクノロジー産業協会。産業ロビー団体で1100人を超えるメンバーで構成された世界最大のバイオテクノロジー団体)
C.V. Starr & Co., Inc.(CV Starr)(革新的なリスク管理解決策を提供するグローバルな保険および金融サービス組織。飛行機、船舶、エネルギー、財産および超過災害保険を扱う)
Cargill, Incorporated(カーギル、1865年設立のアメリカ最大の個人所有企業で、もし公開企業であればフォーチュン500のトップ10に入ると言われている穀物メジャー。食品、農産品、金融商品、工業用品および関連サポートをグローバルに生産して提供し、63か国でビジネスを展開、総従業員数は13万8000人)
Caterpillar, Inc.(キャタピラー、建設および採鉱設備、ディーゼル機関および天然ガス機関の世界で最大のメーカー。機械類とエンジンを売り、世界的な販売網によって顧客に金融商品と保険も売っている)
Chevron Corporation(シェブロン、1879年創業の石油関連企業。世界の石油関連企業の中でも特に巨大な規模を持つ国際石油資本、いわゆるスーパーメジャーと総称される6社の内の一社)
Citigroup, Inc.(シティグループ、1812年に前身である会社が創業された多国籍金融サービス企業。世界140カ国に1万6000のオフィスを持ち、世界で最大の金融サービス・ネットワークを所有、社員数は26万人、顧客の口座は2億以上開設されている)
Coalition of Service Industries (CSI)(サービス業連合。サービス業全般を代表しており、アメリカの労働力の80%を使用し、全国経済生産高のうちの4分の3を占めている。保険、テレコミュニケーション、情報技術、速達便、オーディオビジュアル、エネルギー・サービス、また他のサービス業を含んでおり、銀行業務から国際的大企業まで世界100カ国を網羅する)
The Coca-Cola Company(コカ・コーラ、多国籍飲料企業大手。現在200か国以上で500を超える商標を展開し、毎日17億杯もコカコーラを売っている)
Corn Refiners Association (CRA)(コーン精製者協会。コーン精製とはコーンスターチ、トウモロコシ油、ブドウ糖果糖液糖(HFCS)の生産のこと)
Council of the Americas (COA)(アメリカ評議会。自由貿易、民主主義および公開市場を促進しているアメリカの事業組織。経済・社会開発、公開市場、法の支配および西半球の至る所での民主主義に対する共通の責任を共有しており、委員会の会員は銀行業務、金融、コンサルティング・サービス、消費者製品、エネルギー、採鉱を含む広範囲のセクター、製造、メディア、技術、輸送を代表する主要な国際会社から成り立っています)
CropLife America(CROP、農業のバイオ企業の国際的な連合)
DHL(ディーエイチエル、世界最大の国際輸送物流会社。国際ロジスティクス会社ドイツ・ポストの1部門)
Diageo(ディアジオ、イギリスの酒造メーカー。世界で最大のビールとワインの主要製造業者でもあり、スミノフ、ジョニーウォーカー、ギネス、キルケニー、ベイリーズ、J&B、キャプテンモルガン、クエルボ、タンカレー、ボーリューヴィニャード、スターリングヴィンヤーズワインなどのブランドを持つ。180か国以上で販売を行い、80か国にオフィスを持っている)
Distilled Spirits Council of the United States (DISCUS)(合衆国蒸留酒会議。数十年間存在した3つの組織(ブルボン研究所、酒精協会およびライセンスト・ビバレッジ・インダストリーズ社)の合併によって1973年に結成された。アメリカで販売されているすべての蒸留酒の80%を代表している)
The Dow Chemical Company(ダウ・ケミカル、世界最大級の化学メーカー。175か国以上に4万6000人の従業員を持ち、1897年設立。米国化学工業協会の会員)
Eli Lilly and Company(イーライリリー・アンド・カンパニー、1876年設立の製薬会社。糖尿病治療のためのインスリン製剤で有名で、今日世界で最大のインスリンメーカーであり、精神医学薬剤の配給元でもある)
Emergency Committee for American Trade (ECAT)(米国貿易緊急委員会。米財界有力者が結成した自由貿易推進団体で1967年結成)
Emerson(エマソン、多国籍企業。広い範囲にエンジニアリング・サービスを提供し、アメリカで最大のコングロマリットのうちの一つ。150か国に12万7700人の従業員を持つ)
Express Association of America (EAA)(アメリカ速達便協会。4つの大きな統合速達便会社であるDP DHL、フェデックス、TNT、UPSが作った新連合)
Fashion Accessories Shippers Association (FASA)(ファッションアクセサリ運送協会。国立ファッション・アクセサリーズ協会社(NFAA)によって1986年に設立され、政府の事務に助言したり、価値のある米国関税情報を供給することが役割)
FedEx Express(フェデックス、物流サービスを提供する世界最大手の会社)
Fluor(Fluor Corporation、石油およびガスの建設会社でフォーチュン500のうちの1社。4万1000人を超える国際的な従業員を雇用し、25か国以上に展開している)
Footwear Distributors & Retailers of America (FDRA)(アメリカ履物配給者・小売り業者協会。フットウェアの小売り業者、配給者、メーカー、サプライヤーおよび国際貿易協会)
Freeport-McMoRan Copper & Gold Inc.(Freeport、世界で最も低コストの銅生産者および金の世界で最大の生産者のうちの1つ)
Gap, Inc.(Gap、アメリカで最大の衣類および付属品小売り業者。13万5000人の従業員がおり、世界中に3076の店舗を展開、そのうち2551はアメリカ国内)
General Electric Company(GE、世界最大のコングロマリット(複合企業)であり、売上高世界第二位のメーカー。1878年創業でエネルギー、技術インフラストラクチャー、資本財政および消費者産業の4つのセクションを持つ)
GlaxoSmithKline(グラクソ・スミスクライン、イギリスの医療用医薬品製薬会社。医療用では呼吸器系・抗ウィルス・ワクチンの分野で高シェアを持っている)
Grocery Manufacturers Association (GMA)(食料品店メーカー協会。1908年以来、食物、飲料およびコンシューマ製品のブランド化に努めており、公共政策に産業規模の効率を増加させるためにロビー活動を行っている。最大のメンバーはコカ・コーラ、ネスレ、ペプシコ、プロクター・アンド・ギャンブル、デル・モンテ・フーズおよびユニリーバ)
Hanesbrands, Inc.(ヘインズブランズ、世界的な一般消費財企業で主にアパレルを扱う衣料品会社。Wikileaksの公電の中では国務省にロビー活動を行ってハイチの1時間あたりの最低賃金を0.61ドルから0.31ドルまで下げさせたことが暴露されている)
Herbalife Ltd.(ハーバライフ・インターナショナル、健康食品とスキンケア商品の企業。210万人のネットワークビジネスを駆使し、76か国でMLM方式のビジネスを展開。社員数は4000人)
Hewlett-Packard Company(ヒューレット・パッカード、製品、技術、ソフトウェア、ソリューション、および政府の顧客を含む個別消費者、中・小型のビジネス(SMB)および大企業に対する製品を提供するアメリカの多国籍情報技術企業)
IBM Corporation(IBM、コンピューター・ハードウェアとソフトウェア、メインフレーム・コンピューターからナノテクノロジーまで及ぶコンサルティング・サービスも含む多国籍技術企業。時価総額では世界2番目の規模の技術会社)
Information Technology Industry Council (ITI)(米国情報技術工業協議会、米国の主要なハイテク企業によって構成される団体で世界各国の首都、WTO(世界貿易機関)におけるロビー活動を最も効果的に行うテクノロジ産業の業界団体として広く知られている)
International Intellectual Property Alliance (IIPA)(国際知的財産連合。1984年に形成された、7つの同業組合の民間部門連合。著作権法によって保護されたコンピューター・ソフトウェア、フィルム、テレビ番組、音楽、本およびジャーナルを対象としている)
Independent Film & Television Alliance (IFTA)(インディーズ映画&テレビ連合。構成は22か国で150を超える会員会社を持っており、販売代理店、テレビ会社、スタジオ関係会社および金融機関などを含む)
Intel Corporation(インテル、世界最大の半導体チップ・メーカー)
J.C. Penney Corporation, Inc.(J. C. Penney、アメリカの中程度のデパートチェーン、50の米国の州およびプエルトリコすべてに1107のデパートを展開している)
Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン、アメリカの医薬品・ヘルスケア製品メーカー。1886年設立で、世界に250以上のグループ企業を保有しており、医薬品・医療用機器・診断薬を製造。救急絆創膏「バンドエイド」で有名。世界企業ランキングでは製薬ヘルスケア部門で世界第2位)
Kraft Foods(クラフト・フーズ、アメリカの菓子、食物および飲料コングロマリット大手。155か国以上で多くの商標を売り、そのうちの12個で毎年10億ドル以上を得ている。キャドバリー、ジェーコブス、クラフト、LU、マックスウェル・ハウス、ミルカ、ナビスコ、オスカーメイヤー、フィラデルフィア、トライデントなどを持っている)
Levi Strauss & Co.(リーバイス、デニム・ジーンズのリーバイス・ブランドで世界的に知られている個人所有のアメリカの衣料品会社)
Mars, Incorporated(MARS、菓子、ペットフードおよび他の食品の世界的なメーカーでフォーブズによってアメリカで5番めに大きな私企業に位置付けられている)
McDermott International(McDermott、アメリカ、中東、カスピ海および環太平洋で事業で主に海を舞台にした国際的なエンジニアリング会社)
The McGraw-Hill Companies(マグロウヒル、出版社。ビジネスウィーク誌などの雑誌の出版や、教育、放送、金融事業などを行っており、スタンダード&プアーズやJDパワーの親会社)
Merck & Co., Inc.(メルク、世界140カ国以上で事業を展開している世界的な医薬品大手企業で1891年設立。従業員数は約9万3000名。世界に七つある巨大製薬会社の1つ)
Microsoft Corporation(マイクロソフト、多国籍コンピューティング企業。マイクロソフト・オフィスとウインドウズで超有名)
Monsanto Company(モンサント、遺伝子組み換え作物の種の世界シェアは90%を占め、研究費などでロックフェラー財団の援助を受けている多国籍バイオ化学メーカー)
Motion Picture Association of America (MPAA)(アメリカ映画協会。映画産業の業界団体であり、ハリウッドのメジャースタジオなどをメンバーとする)
National Association of Manufacturers (NAM)(全米製造業者協会。アメリカ最大の産業同業組合)
National Cattlemen’s Beef Association (NCBA)(全国牧畜業者牛肉協会。牛肉生産者の集まりで、「景気および消費者需要の増強により牛および牛肉生産者のための利益獲得機会を増加させる」のが目的)
National Center for APEC (NCAPEC)(アジア太平洋経済協力会議(APEC)のための米国のナショナル・センター。APECのための唯一の米国商業組合で、APECのプロセスへのアメリカの民間部門としてロビー活動を繰り広げている)
National Confectioners Association (NCA)(国立菓子屋協会。69の菓子会社の代表によってシカゴで1884年に設立され、世界で最も古い同業組合のうちの1つ)
National Foreign Trade Council (NFTC)(全国貿易協議会、TPPの総元締め)
National Music Publishers Association (NMPA)(全米音楽出版社協会。音楽出版社の全米団体で著作権保護を活動の中心としており、1917年設立。800を超える音楽出版社が加盟しており、アメリカの音楽著作権の60%を処理している)
National Pork Producers Council (NPPC)(国立豚肉生産者評議会。国内と世界市場への高品質の豚肉の一貫して信頼できるサプライヤーとして米国豚肉産業を確立することにより、米国豚肉生産者および他の産業ステイクホルダーの成功の機会を増強して、その43の合併された州協会を代表して公共政策に関与するロビー団体)
National Retail Federation (NRF)(全国小売連盟。世界で最大の小売り業協会で、デパート・専門店・ディスカウントストア・通信販売・ネットショッピング・独立小売業者およびチェーン・レストランおよび食料雑貨店を含む。4兆4000億ドル売上、2400万人を超える従業員、160万軒以上の米国の小売店を含んでおり、さらに100を超える協会をも含んでいる)
News Corporation(ニューズ・コーポレーション、アメリカの多国籍巨大メディア企業。タイムズ・20世紀フォックス・FOXテレビジョンなど大手新聞、テレビ、映画会社などを傘下におさめるオーストラリア発祥の世界的なメディア・コングロマリット。)
Oracle Corporation(オラクル、アメリカの多国籍コンピューター技術企業。世界で第2位のソフトウェア会社。世界市場のトップシェアを占めるデータベース管理システムソフトを持つ。)
Outdoor Industry Association(OIA)(アウトドア企業団体。アウトドア産業で4000社以上のメーカー、配給者、サプライヤー、販売代理人および小売り業者に貿易サービスを提供している同業組合)
Pacific Sunwear of California, Inc.(PACSUN、小売り衣料品会社。南カリフォルニアの若者文化および流行に定着している。十代とヤングアダルトのためにデザインされた限定アクセサリーやフットウェアなどが有名で、50の州およびプエルトリコに826の店を展開している)
Pfizer, Inc.(ファイザー、世界売上1位のアメリカの多国籍製薬企業。1849年創業、11万6500人の従業員を抱える。バイアグラを作ったのはここ)
Pharmaceutical Research and Manufacturers of America (PhRMA)(米国研究製薬工業協会。米国で事業を行っている主要な研究開発志向型の製薬企業とバイオテクノロジー企業を代表する団体)
Principal Financial Group(プリンシパル・ファイナンシャル・グループ、1879年に設立された約130年におよぶ歴史を持つ世界有数のグローバル金融サービス機関。傘下の会社を通じて個人や法人の投資家に対してリタイアメント・サービス、資産運用、保険等の様々な金融商品ならびにサービスを提供している)
Procter & Gamble(P&G、プロクター・アンド・ギャンブル、世界最大の一般消費財メーカー。2011年度の売上は826億ドル(約6.4兆円))
Recording Industry Association of America (RIAA)(アメリカレコード協会。アメリカで生産され売られたすべての正当なレコード音楽のおよそ85%を作成・製造・分配している)
Retail Industry Leaders Association (RILA)(小売り業界リーダー協会。公共政策と産業によって消費者の選択および経済的自由を促進することを目的とした同業組合)
Sanofi-Aventis(サノフィ・アベンティス、フランス・パリを本拠とする製薬・バイオテクノロジー企業でヨーロッパ最大手。循環器系・代謝系・中枢神経系・内科系・血栓症・がんなどの医薬品やワクチンを製造している)
Securities Industry and Financial Markets Association (SIFMA)(証券業界および金融市場協会。アメリカと香港で証券会社、銀行および資産運用会社を代表する主要な証券業界業界団体の1つ)
Skyway Luggage Company(Skyway、1910年設立の荷物メーカー。カナダ、メキシコ、ヨーロッパ、オーストラリアおよびニュージーランドへの国際的卸売業者でもあり、アメリカで最大の独立して所有された荷物サプライヤー)
Smart Apparel U.S., Inc.(Smart Apparel、紳士服やスポーツウェアおよび礼装用ワイシャツなどのアパレルメーカー)
Society of Chemical Manufacturers and Affiliates (SOCMA)(化学メーカー協会。国際貿易協会であり、合理的なルールを求める団体)
Target Corporation(ターゲット、小売業者。ウォルマートに次ぐアメリカ2番目のディスカウントチェーンで、アメリカ全企業の収入ランキングでは33位)
AnnTaylor Stores Corporation(アン・テイラー、女性向け衣類小売りチェーン。クラシックスタイルのスーツやドレス、靴やアクセサリーを製造・販売していて、46の州で907の店や工場を展開している)
TechAmerica(テックアメリカ。アメリカを中心としたハイテク技術産業団体で、1200の企業が所属。目標として「草の根からグローバルへ」を掲げています)
Time Warner, Inc.(タイム・ワーナー、世界最大のメディア企業の1つ。CNN、ワーナーブラザーズ、カートゥーンネットワーク、ブルームバーグ、TIME、ニューラインシネマ、DCコミックなどを傘下に持つ)
Travel Goods Association (TGA)(旅行用品産業の全国組織で、製造業者、代理店、小売業、プロモーター、販売店、そして下請け業者までがメンバーに含まれている)
TTI Global Resources, Inc.(TTIグローバルリソース。アパレルや靴下関係のビジネスを背後に持つ投資グループが2001年に作った企業で、最初はタイで細々と事業を営んでいましたが、国際サプライチェーン化して、今やタイの他に中国やベトナムで生産や経営のサポートをしている)
Tumi(トゥミ、スーツケースやカバンを作っているメーカー。ペルーで平和活動を行っていたチャーリー・クリフォードが1975年に設立。世界に直営店舗を120店舗出店している)
U.S.-ASEAN Business Council(米国ASEANビジネス協議会。ワシントンD.C.、バンコク、ハノイ、ジャカルタ、マニラ、シンガポールにオフィスを置き、アメリカとASEAN諸国との間の市場問題を解決している)
U.S. Association of Importers of Textiles and Apparel (USA-ITA)(アメリカ繊維アパレル輸入協会。国内の布や衣類の輸入業者が一体となった主張をするべく1989年に設立。アメリカの小売業者やブランド、輸入業者のニーズを代表し、ビジネスの障害を取り除くべく活動している)
U.S. Chamber of Commerce(アメリカ商工会議所、ロビー団体。多数の企業や産業団体の利益を代弁するためにロビイストのほかに政策専門家や弁護士が所属する、アメリカ最大のロビー団体の一つ)
United States Council for International Business (USCIB)(米国国際ビジネス評議会。1945年に「開かれた国際取引システム」促進のために設立され、300以上の多国籍企業や法律事務所、商業組合が加盟している)
United Technologies Corporation(ユナイテッド・テクノロジーズ、多国籍企業。航空機のエンジンやヘリコプター、燃料電池、エレベーターやエスカレーター、防火や警備などの建物システムなど幅広い製品を扱うコングロマリット。軍事企業でもあり、攻撃ヘリのブラック・ホークやミサイル関連も扱っている)
United Parcel Service (UPS)(ユナイテッド・パーセル・サービス、貨物運送会社。世界中の220の国や地域に展開していて、1日の顧客は610万人、運ぶ荷物の数は1500万個以上)
US-New Zealand Council(アメリカ・ニュージーランド評議会、超党派非営利組織。アメリカとニュージーランドとの間の貿易拡大や投資、業務提携促進のために活動している団体。評議会メンバーやスポンサー合計38社のうち34社はアメリカ企業や多国籍企業、4社がニュージーランド企業)
Visa Inc.(ビザ、カード会社。200カ国以上で使用可能なクレジットカードのブランド。クレジット以外に支払いと同時に引き落としが行われるデビットや先に入金して積み立てておくプリペイドのサービスも行っており、アメリカでは70%以上がこちらの利用方法)
Wal-Mart Stores, Inc.(ウォルマート、ディスカウントショップ最大手。従業員数が200万人もいる世界最大の企業で、収益も世界18番目。世界15カ国にいろいろな名前で合計8500店舗を展開している)
Xerox Corporation(ゼロックス、印刷機器製造会社。世界160カ国に展開しており、従業員の数は13万6000人。イギリス女王エリザベス2世とチャールズ皇太子の「御用達リスト」に加えられている)
----ここまで----
これらのリストを見れば分かるのですが、「アメリカ」という国一つを相手にしているのではなく、その裏にいるこれだけの多国籍企業をTPPは相手にしており、TPPでアメリカと交渉するということは、これらすべての企業を代表するアメリカ政府と交渉する、ということを意味します。
果たして、日本がTPP交渉の席に着くことができたとして、それで何ができるのか、交渉に適した人物はいるのか、日本の企業はどうするのか、そういうことすべてが問われることになります。
このTPP交渉を開始すれば、途中で抜け出したり辞めたりすることはできないと言われている意味は、こういうことなのです。
最後に、「TPPの真の問題」を書いて終わりにします。TPPは日本だけの問題ではないという恐るべき現実の姿をお目にかけます。
(記事引用元:http://gigazine.net/news/20111104_tpp_mastermind/)
・TPPは全世界で反対されている、自由貿易ではなく公正貿易が必要
2011年11月05日 17時25分40秒
アメリカ国内でも「TPP反対」の動きがあります。TPPの問題は「日本vsアメリカ」の構図だと思いがちですが、実際には全く違っており、問題の本質は「国vs国」ではないのです。
◆TPPの真の問題点
さらにこのTPPについて、以下の書籍「No Ordinary Deal -Unmasking the Trans-Pacific Partnership Free Trade Agreement-(「普通の契約ではない~TPP自由貿易協定を暴露する~」)」でもオークランド大学のジェーン・ケルシー教授など複数の関係者が以下のように警告を発しており、なんと日本についても触れられています。
以下が書籍中で触れられているTPPの真の問題点です。
・TPPは通常の自由貿易ではない
・オバマ大統領がアメリカ国内の仕事と景気回復のキーとしてTPPを売っているに過ぎない
・TPP関係でベトナム以外の9つの国が既に規制緩和を行っており、民営化も進めており、各国間に既に多くの自由貿易が成立している
・アメリカの乳製品市場がニュージーランド・中国・インド・日本に開放されるなどと誰も信じていない
・TPPでは「貿易」という名前自体が誤っている、間違っている
・TPPは輸出品や輸入品に関係していない
・TPPの契約によってもたらされる義務は(相手国)政府の政策や国会の責任などのコア領域に押し入ることを目的としている
・アメリカのロビーストたちが自分の好きなように医薬品・食品・知的財産の規則を制限できるようになってしまう
・外国人投資家は自国を守るために投資を削減させようとする法案を出す政府を訴えることができるようになってしまう
◆FAIR TRADE NOT FREE TRADE「自由貿易ではなく公正貿易を」
自由貿易最大の問題点は貧富の差が拡大する点にあります。
貧しいものはより貧しくなって貧困から抜け出せなくなり、富める者はますます富むようになるわけです。
これは実際に一方的なルールに基づく「自由貿易」を強制された過去のアフリカの例を見れば明らかで、そのほかの国でも同じようにして「自由貿易」を行って栄えた国はありません。
「自由」と「公正」とはまったく違うのです。
求めるべきは「公正」な取引であり、勝手なルールと勝手な規則・規制・法律によって強制される一方的「自由」ではない、ということです。
また、「開かれた貿易」というのも耳に聞こえ心地はいいのですが、実際には「公正な立場の貿易」でなければ、ただの「植民地」と変わりが無いのです。
なぜなら、日本がTPPで相手にするのはアメリカというより「多国籍企業」であり、一国に依存しない多国籍企業はどの国の国民の利益にも関心はないためです。
だからこそ世界各地で反対運動が起き、問題点が山のように指摘されているわけです。
つまり、私たちは自由貿易ではなく公正貿易を求めなければならない、ということです。
(http://gigazine.net/news/20111105_tpp_trade/)
登録:
投稿 (Atom)